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部屋の数より先に、暮らしの輪郭を想像する

  • 6月5日
  • 読了時間: 3分

家づくりを考え始めると、まず間取りの話になることが多いように思います。


何LDKにするか。

収納をどれくらい確保するか。

回遊動線をどう整理するか。


もちろん、どれも暮らしには大切な要素です。

ただ、実際の生活は、部屋の数や広さだけでは整理しきれないことがあります。

例えば、家族と同じ空間に居ながら、少しだけ距離を取りたい時。一人で集中したいけれど、完全に閉じこもりたいわけではない時。なんとなく落ち着ける場所を探して、家の中を移動している時。

暮らしの中には、そうした曖昧な感覚が意外と多く含まれています。

けれど、家づくりではその部分が後回しになりやすい。

広さや部屋数、収納量のように数値化しやすいものへ意識が向きやすく、「どんな距離感で過ごしたいか」は、言葉にならないまま進んでいくことがあります。

最近では、印象的な名前のついた小さな居場所を取り入れる考え方も増えてきました。


ただ、本当に落ち着ける場所は、名前や用途だけで決まるものではないように思います。


光の入り方。

周囲との距離感。

少し視線を外せること。

音の届き方。気配の残り方。


そうした細かな条件の積み重ねで、人が落ち着ける場所は変わっていきます。


特に北海道のように、冬の時間を家の中で長く過ごす地域では、その感覚が暮らしに強く影響します。

暖かい場所へ自然と集まりながらも、少し距離を取れる場所があることで、同じ空間に無理なく居続けられることもある。

家族との関係も、常に近ければ良いというわけではなく、その時々で距離感を調整できることが、暮らしの安定につながるように感じています。


建物の大きさや階数は、敷地や予算によって整理されていく部分もあります。

ただ、その中でどんな距離感で暮らすのかは、数字だけでは決まりません。

同じ広さでも、落ち着ける家もあれば、なぜか居場所が定まらない家もある。

建築は、部屋を並べる作業ではなく、暮らしの輪郭を少しずつ整理していくことに近いのかもしれません。

間取りのために暮らしを合わせるのではなく、暮らしに合わせて間取りを考えていく。


どこで過ごしたいのか。

誰と、どのくらいの距離感で居たいのか。

どんな時間を心地よいと感じるのか。


そうした感覚が少しずつ見えてきた時、間取りもまた、あとから形になっていくように思います。


家づくりは、情報を集めるほど整理しにくくなることがあります。

当事務所では、間取り提案の前に、「何を整理する必要があるか」を確認するところから相談を行っています。



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加藤寛基建築設計事務所
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